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2017年11月21日 [歯周病]
お口の中の歯周病菌を検査する
皆さんこんにちは。
東戸塚エリアの皆様の口腔内の健康維持・増進を担う歯科、東戸塚デンタルクリニックの院長 江口です。
今日は、「お口の中の歯周病菌を検査する」について、お話いたします。
歯周内科治療を行うにあたっては、まず口腔内に存在する歯周病菌の種類を特定する検査が必要となります。
歯周病と一口にいっても、患者様によって感染する菌の種類や症状の程度が違うため、使用する薬剤やその後の治療法が異なります。
そのため検査をおこたってやみくもに薬剤を使用すれば、有益な効果が得られないばかりか、口腔内や体内の細菌バランスを乱すことにもなりかねません。
歯周内科治療を円滑に進め、かつその有効性を高めるためには、事前に検査を行い綿密な治療計画を立てることが重要です。具体的には患者様の口腔内から唾液や歯垢を採取し、以下のような方法を用いて歯周病菌の種類を特定していきます。
位相差顕微鏡による検査
歯周内科ではまず、位相差顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いて唾液や歯垢の中に含まれる歯周病菌の形状や動きなどを確認します。位相差顕微鏡で確認できる菌種は、カビ菌の一種であるカンジダやらせん菌のスピロヘータ、原虫のトリコモナスや歯肉アメーバなどです。
位相差顕微鏡で観察できる菌は、画像モニターを通して患者様自身も確認することができます。またその時の画像を保存しておき、薬剤の使用前、使用後の変化を比較することも可能です。
バナペリオによる検査
プラーク(歯垢)の中の歯周病の原因となる三種の菌、P.g菌、T.d菌、T.f菌の三種の菌量を調べます。リスクの判定を5分程で判定できる迅速な歯周病細菌検査です。
リアルタイムPCR法による遺伝子検査
位相差顕微鏡では唾液や歯垢内に存在する菌の形状や活動の様子などを確認できますが、歯周病菌の種類の特定にはいたりません。実際に歯周病菌を特定するのはリアルタイムPCR法と呼ばれる検査で、細菌のDNAを特定することで、どの種類の歯周病菌に感染しているかを調べることができます。
リアルタイムPCR法で特定できるのは、歯周病菌の中でも悪玉菌と呼ばれる次の6種です。
・ポルフィノモナス・ジンジバリス(P.g菌)
・トレポネーマ・デンティコーラ(T.d菌)
・タンネレラ・ファーサイシア(T.f菌)
・アグリゲートバクター・アクチノミセテムコミナンス(A.a菌)
・プレボテーラ・インターメディア(P.i菌)
・フソバクテリウム・ヌクレアタム(F.n菌)
このうち、上記の3つの菌種(P.g菌、T.d菌、T.f菌)はレッドコンプレックスと呼ばれ、歯周病菌の中でも特に悪性度が高いといわれています。リアルタイムPCR法はこれらの菌の有無を調べることで、歯周病の重症度も確認することができます。
⇒ 次回は服薬で菌を減らすについてお話します